KAERU-NO-UTA

ソプラノ 佐々木美歌 のんびり日記

The wind and the rain 訳してみました

私が今までの人生で最も好きな映画、そして最も多回数観ている映画が、Trevor Nunnの'Twelfth Night「十二夜」'です。

 

William Shakespeareにはまり、様々な作品を片っ端から某DVDレンタルショップで借りて観ていた頃に出会った作品。

 

ジャンルは"コメディ"ですが、かなり入り組んだお話で、「もうこんなの解くの無理!」と叫びたくなるほどにこんがらがった糸が、最後にやっと解けた瞬間のような爽快さと満足感のある、素晴らしい物語です。

 

1996年にTrevor Nunnが監督&脚本を勤めた'Twelfth Night「十二夜」'は、キャストも音楽も脚本も構成も衣装も何もかもが私のツボでした。

 

笑いあり、涙あり、そして"人間"について考えさせられ、尚且つ美しい言葉の宝石が随所に散りばめられたこの物語にすっかり虜になった当時の私は、すでにほんのりプレミアムが付いていたそのDVDを迷わず購入し、もうそろそろ割れるんじゃないかというほどに観返しています。笑

 

十二夜に出会うまで、シェイスクピアといえばハムレットやロミジュリでしょ!と思っていた私、反省しました。

 

人の本質は喜劇にあり。

 

 

そんな「十二夜」の中の登場人物、語り部である道化のFesteが、物語のエンディングとして歌うのが、"The wind and the rain『風に雨』"。

 

今回は大好きなこちらの曲を和訳してみました。

 

そういえば、Festeってどういう意味なのかな?と思い調べたところ、イタリア語の"Buone feste!"という言葉に行き着きました。

イタリア語が苦手な私の雑な説明ですが、Festa(お祭り)の複数形が、Feste。

イタリアでは、「良いクリスマスと新年を!」という声かけに、"Buone feste!"と言うらしいんです。

十二夜」は公現祭のことだそうで、イエス・キリストが生まれてから12日後に、東方の三博士がベツレヘムでそのお姿を初めて目にし、御祝いをした日のこと。

クリスマスシーズン(年末年始のお祭り)の終わりが、この十二夜なんですね。

そんな十二夜に上演されたから、タイトルが「十二夜」になったのでは?といわれているそうですが、劇中に「十二夜」を示すセリフやト書きは一切ありません(笑)

唯一、このFesteという道化の名前だけが、なんとなくクリスマス感を醸し出している気がします。

 

話が逸れました……

映画の中の歌詞と原詩では言葉が変わっているところがあるのですが、とりあえず原詩のままで訳してみたいと思います。

 

ちなみに、映画は歌の部分も字幕付きで、音楽の字幕もまたセリフのそれと同様に美しいですよ!

私の対訳は飽くまで自己満足的対訳ですので、悪しからず……

 

 

数年前、根津協会にて、Korngoldの曲で同じ詩を歌ったことが思い出されます。

KorngoldのThe wind and the rainも素晴らしい曲でした(^ ^)♪

 

 

"The wind and the rain"

『風に雨』

 

When that I was and a little tiny boy,
With hey, ho, the wind and the rain,
A foolish thing was but a toy,
For the rain it raineth every day.

 

幼い頃にゃ、

ヘイホウ、風に雨、

悪戯しても叱られず、

毎日雨が降っていたから。

 

But when I came to man’s estate,
With hey, ho, the wind and the rain,
’Gainst knaves and thieves men shut their gate,
For the rain it raineth every day.

 

大人になりゃ、

ヘイホウ、風に雨、

悪党、盗人、門の外、

毎日雨が降っていたから。

 

But when I came, alas! to wive,
With hey, ho, the wind and the rain,
By swaggering could I never thrive,
For the rain it raineth every day.

 

女房を娶りゃ、

ヘイホウ、風に雨、

出世もできずに空威張り、

毎日雨が降っていたから。

 

But when I came unto my beds,
With hey, ho, the wind and the rain,
With toss-pots still had drunken heads,
For the rain it raineth every day.

 

床に就くときゃ、

ヘイホウ、風に雨、

大酒飲んで二日酔い、

毎日雨が降っていたから。

 

A great while ago the world begun,
With hey, ho, the wind and the rain,
But that’s all one, our play is done,
And we’ll strive to please you every day.

 

世界が始まった大昔にゃ、

ヘイホウ、風に雨、

これで完結、劇は終い、

でも芝居は客のお気に召すまで。

 

 

 

最後の「芝居は客のお気に召すまで。」は、『十二夜』の副題である"What You will「御意のままに」"をヒントにしてみました。

 

Festeの"Our play is done."というセリフ、「僕の出番(お祭り・クリスマスシーズン)はとりあえずここで一旦終わりね!」と言っているようで、可愛らしい。

 

シェイクスピアの詩は読んだ時の英語の響きも綺麗なので、日本語に訳すと野暮ったくなりますね(笑)

 

 

Haruka.