KAERU-NO-UTA

ソプラノ 佐々木美歌 のんびり日記

She moved through the fair

アイルランドの美しい民謡、She moved through the fair。

タイトルからは何だか楽しげな"彼女"の姿が伺えますが、

その実、とてもとても切ない一曲です。

どうしてイギリスの民謡はこういった悲しい曲が多いのか…




今回は、こちらの曲の翻訳に挑戦してみました。

驚きのオチに注目です。

まだまだ未完成ですが…いつか歌えたらいいなぁ。




'She moved through the fair'

My young love said to me,
"My Mother won't mind,
And my Father won't slight you
For your lack of kind." 
She turned her head to me
And this she did say:
"It will not be long, love
Till our wedding day."

And she stepped away from me
And she moved through the fair
And fondly I watched her
Move here and move there
She went her way homeward
With one star awake        
As the swans in the evening
Move over the lake

The people were saying
No two e'er were wed
But one had a sorrow
That never was said 
And she smiled as she passed me
With her goods and her gear
And that was the last
That I saw of my dear.

Last night she came to me
My true love came in
So softly she came
That her feet made no din
And she laid her hand on me.
And this she did say:
"It will not be long, love
Till our wedding day."


『あの娘は市場を歩き回った』

あの娘は言ったよ、
「私のお母さんは気にしないし、
お父さんだって貴方を軽蔑しないわ、
貴方が貧乏だなんてこと。」
あの娘は振り向いて
それからこう言ったよ、
「ねえ、きっともうすぐよ、
私たちの結婚式の日まで。」

それからあの娘は僕から離れて
市場を歩き回ったよ
僕は愛情一杯に見つめたよ
あの娘があちらこちら行くのを
そしてあの娘は帰って行ったよ
一番星と一緒に
夕暮れ時に白鳥が
湖を渡って行くように

誰かがこう言っていたよ
片一方が誰にも言えない
悲しみを持っている時
その二人が結ばれた試しはないってね
するとあの娘は僕を追い越して笑って見せたよ
両手に持った嫁入り道具を持ったまま
そしてそれが、僕の愛しい人の
最期の姿だったよ

昨日の夜、あの娘は僕の所へ来たよ
その誠実な恋人は家の中へ入って来たよ
とっても静かに
足音なんてちっとも無く
あの娘は僕の肩にその手を置いたよ。
それからこう言ったよ、
「ねえ、きっともうすぐよ、
私たちの結婚式の日まで。」

(訳:佐々木美歌)




はい、オチはまさかの怪談です。

3連目で「不実な恋人に振られちゃったのかな?」と思いきや…

死んじゃった!!



色々な説を読んでみたのですが、最も納得できたのが以下のような解釈でした。


●僕のかつての恋人は、実は両親から僕との結婚を反対されていた。しかし恋人はそれを僕に言い出せず、一人で抱え込み、ある日他愛ない街中のお喋りを耳にしたことをきっかけに、自殺してしまった。そして昨夜、逝ってしまった恋人は僕の夢か現かの狭間に現れ、かつての甘い思い出と共に残したあの言葉をそっと僕に囁いた。


この曲はとても有名ですので、今更解説は不要ですが、一応載せさせていただきました。

そんなことを踏まえて、どこかノスタルジックで甘美なアイルランド民謡の旋律と音色を、もう一度聴いてみてはいかがでしょうか。



Haruka.